心臓も腎臓も守ってくれる今注目の糖尿病治療薬=SGLT2阻害薬とは?|湘南いいだハートクリニック|平塚市の内科(一般内科・循環器・心臓血管)

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医療コラム

心臓も腎臓も守ってくれる今注目の糖尿病治療薬=SGLT2阻害薬とは?|湘南いいだハートクリニック|平塚市の内科(一般内科・循環器・心臓血管)

心臓も腎臓も守ってくれる今注目の糖尿病治療薬=SGLT2阻害薬とは?

 こんにちは!

 今回は通院患者さんの背景疾患として増えてきました糖尿病のお薬の中で、特に心臓・腎臓の両者を守る効果も兼ね備えたSGLT2阻害薬についてのお話をしたいと思います。

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 糖尿病のお薬は今や数えきれない程多くありますが、その中でも心臓・腎臓の両者を守る効果も兼ね備えた昨今注目されているお薬として、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬があります。

 特にSGLT2阻害薬は糖尿病のない心不全患者さんにも適応で、現在は心不全患者さんが最優先で内服すべき4つのお薬の1つに選ばれています。心臓の病気をもつ患者さんにとってはARNI(エンレスト)と並ぶ救世主のようなお薬と言っても過言ではありません。

※ 上記 4つのお薬は、”fantastic four”とも呼ばれ、SGLT2阻害薬・ARNI(エンレスト)・β blocker・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬がそれに相当します。

 

 SGLT2阻害薬には、フォシーガ(ダパグリフロジン)・ジャディアンス(エンパグリフロジン)・カナグル(カナグリフロジン)・スーグラ(イプラグリフロジン)・ルセフィ(ルセオグリフロジン)・デベルザ(トホグリフロジン)などがあります。

 そこで、このSGLT2阻害薬の特徴を下にまとめてみました。

糖尿病のお薬としての効果

 血液中の過剰な糖を尿から排泄させることで、血糖値を下げる効果を発揮します。

 3ヶ月間の血糖値の指標であるHbA1cを0.6~1.2%低下させることが報告されています。

 尚、必要以上の糖は排泄しませんので、SGLT2阻害薬単独では低血糖になるリスクは非常に低いとされています。

 実際に糖尿病のない心不全患者さんに導入して低血糖になったことは経験したことがありません。

 尚、他の糖尿病のお薬と同様、”シックデイ”と呼ばれる食事できない程体調が悪い時は、”ケトアシドーシス”と呼ばれる合併症が起こるリスクが上がる為、休薬が望まれます。

心臓を守る効果

 SGLT2阻害薬のうち、フォシーガ(ダパグリフロジン)及びジャディアンス(エンパグリフロジン)については、

① 心不全再入院を減らす効果 ② 心血管死亡(心筋梗塞などによる死亡)を減らす効果 がエビデンス(証明された効果)として構築されています。

 さらに心房細動(脳梗塞のリスクとなる不整脈)が発症するリスクを低下させるといった心臓関連の様々な報告が近年あります。

 したがって、糖尿病の有る無しに関わらず、心臓の病気をもつ患者さんではフォシーガあるいはジャディアンスの内服を第一選択として検討する必要があります。

腎臓を守る効果

 SGLT2阻害薬は腎臓を守る効果もあります。

 特に腎臓の機能が低下する速度を減らすことで、上で説明した心臓を守る効果の立役者になっている可能性も指摘されています。

 ただし、“initial drop”と呼ばれ、SGLT2阻害薬の内服開始間もない期間は腎臓の機能が一時的に低下することが知られており、それを理由に即座に中止してしまうのはもったいない為、処方医は長期的視野で継続・中止の可否を慎重に決定する必要があります。

体重減少効果

 SGLT2阻害薬は前述のGLP-1受容体作動薬と並んで、所謂”やせ薬”と称されます。

 具体的にはタンパク質の分解などを亢進させることで、2~3kgの体重減少効果を見込めます。

 したがって、肥満を有する糖尿病患者さんでは第一選択として検討すべきお薬となりますが、逆に筋肉量が少ないご高齢の患者さんではますます”やせ”を助長させてしまう可能性があり適応を慎重に考慮する必要があります。

副作用

 SGLT2阻害薬の副作用として無視できないものに尿路感染症があります。

 登場し始めの頃に懸念されていた程多くはない印象ですが、高齢の女性の方や尿路結石・膀胱炎の既往があるような尿路感染のリスクがある患者さんでは投与は慎重にあるべきだと思います。

 

 上で説明した通り、SGLT2阻害薬は糖尿病のお薬の中でも心臓及び腎臓も長期的に守ってくれる非常に優れたお薬です。ただし、ご高齢の患者さんなどでは適応を慎重に検討する必要もあります。

 当院では特に心臓の病気をもつ患者さんに長期的視野で慎重にかつ積極的に導入しておりますので、何かご不明な点があればいつでもご相談下さい!

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